ロサンゼルス・ドジャースに入団しメジャーリーグ挑戦が決まった山本由伸投手がトレーニングで取り入れているブリッジ。見ていると身体がものすごく柔軟に見え、まさに柔軟性を維持するためにブリッジをしているように思えますが、実は柔軟性だけを求めているわけではありませんでした。
ブリッジトレーニングの効果は筋肉の柔軟性だけではない
山本由伸投手がブリッジをしている姿を見ると、頭と足の距離が近い綺麗なブリッジで身体が柔らかくないと絶対にできない姿勢に見えます。
もちろん、あのような綺麗なブリッジをするためには柔軟性が無ければできません。
しかし、山本由伸投手は元々柔軟な方ではなかったそうです。ですから、ブリッジが出来るようになるためには、かなりの努力をされたのだと想像できます。
当然、元々柔軟でなかった山本由伸投手が、あそこまでのブリッジが出来るようになったということは、かなりの柔軟性のある身体を手に入れたということは間違いありません。
我が家でもブリッジに挑戦しましたが、子供たちはいとも簡単にブリッジが出来ました。しかし、私は出来ませんでした。やはり、身体が柔軟な子供は簡単にブリッジができますが、柔軟性に乏しい大人になると体中のいろんな部位が固くて妨げとなってブリッジは出来ません。
しかし、ブリッジが出来なかったことが悔しかった私は、少しずつ頑張ると徐々に出来るようになりつつあります。すなわち、柔軟性は大人になっても、その気になればある程度まで取り戻すことは可能です。
ブリッジトレーニングの効果は実際にやってみればわかること
柔軟性が無いときれいなブリッジは不可能です。
しかし、不完全な形でもブリッジをしてみると、身体を支えるために相当な力が身体中のいろいろな部位にかかっていることが体感できます。ブリッジの体勢で自分の身体を支えるだけでウエートトレーニングの負荷以上の負荷がかかっているように感じます。たった数秒も耐えられないはずです。1分ほど耐えられるようになれば、かなりの筋力がついていそうです。
そうなのです、ブリッジの体勢で自分の身体を支えるためには、かなりの筋力が無いととても辛くて、数秒しか耐えることができません。いや初心者が数秒でも耐えることができたらすごいかもしれません。
ブリッジをして長い間、自分の身体を支えるということは、かなりの筋力が必要でブリッジをするだけでも筋力が鍛えられていることが体感できるはずです。そこには、ただ筋力を鍛えているだけでなく、身体のバランスを取りながら支えるという生きた体幹が鍛えられているといえるでしょう。
子供が簡単にブリッジが出来るのは大人に比べて柔軟性があるだけでなく、自身の体重も軽いので子供の筋力でも支えることが可能だからといえるでしょう。しかし、大人になると自身の体重も重くなり、しかも柔軟性もなくなっていくので無理な体勢でのブリッジで自身の身体を支えるとなると、かなりの筋力がないと支えられません。
ブリッジトレーニングの効果はただ筋肉を鍛えているだけではない
では、筋力を鍛えるだけならば、ウエイトトレーニングをすればいいことになります。
ウエイトトレーニングで鍛えられる筋力は部分ごとの筋肉です。上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋、大胸筋など異なるメニューで部分部分を別に鍛えなければなりません。それぞれが、各メニューで鍛えられたとしても、実際運動する時には筋肉群の連動した作用が求められます。(ボディビルダーのように鍛えた筋肉美を見せるだけなら別ですが)
ブリッジをすることにより、確かにブリッジの姿勢を維持するだけでもかなりの筋力が必要です。
しかし、ブリッジの姿勢を維持しているときの身体は全身が一つに繋がって身体を支えています。いわば、全身の筋肉それぞれが連動して力が加わり作用して自身の身体を支えているのです。さらには、そこには力が働いているのですが、全身が繋がっていることにより必要最低限の力だけで(言い換えれば、無駄な力は使われていない=力んでいない)ブリッジの姿勢を支えることが可能になっているといえるのです。これらがウエートトレーニングで鍛えた筋肉とは異なる、より実践的で効果的で役に立つ筋力を鍛えていることになるのです。
力じゃない力
山本由伸投手は、インタビューでブリッジから得られる効果を聞かれたときに、
「力じゃない力」と表現したそうです。
その真意は、やった者にしかわからないくらい表現が難しいということも含んでいると思います。
具体的には言葉にできない。経験してみないと掴めない理解できない効果があるということでしょう。
また、力は使っているけれども必要以上の力は使わずに、バランスさえ取れれば最低限の力でブリッジの姿勢は維持できるということであり、その感覚をブリッジをすることによって養うことができると言えるでしょう。
バランスの取れた状態を知り、力まずに必要最低限の力だけで動けることを知る。それは自分自身の身体を知って理解するということであり、それを理解することによって、力みのない投球につなげることが可能となるのです。
ブリッジトレーニングには、ただ単にブリッジをするだけでなく、体育座りの状態から反転してブリッジの体勢をとったり、その逆をしたり、ブリッジから四つん這いの姿勢に回転し、またブリッジに戻る、片足を上げたり、片手を腹の上に置いたりなど様々なバリエーションがあります。
これらは、いろいろなポーズを取りながら全身の連動性を養ったり、その過程での自身の重心がどこにあるかや重心移動を感じ取りながらバランスをコントロールする感覚を養ったり、力は使っているけれども無駄な力を使わずに己の身体をコントロールすることを知るトレーニングなのです。
身体の繋がりと自分の今の姿勢に気づく
筋力を鍛えて力(パワー)を生み出すのではなく、身体全体の繋がりが出来ていれば力(パワー)は効率よく生まれるというのが山本由伸投手が実践している身体の使い方といえます。そして、身体が繋がっていると同時に身体の重心が安定しているか前後左右どこかに傾いていないかという身体全体のバランスに気づける能力を身に付けることにより、さらに自身の持っている能力のパフォーマンスが最大限に引き出せるかどうかに左右されるのです。山本由伸投手がブリッジをしたり、やり投げをしたり逆立ちをしたりするのも、このようなことを確かめバランスの崩れを修正していっているのです。これらの感覚はちょっとやそこらの取り組みで身につくものではありません。山本由伸投手のパフォーマンスが年々向上していっているのも積み重ねにより、より進化していっているからといえるでしょう。
毎日行うことによって
ブリッジ初心者がトレーニングの一環としてブリッジを行うことによって、ブリッジのよる柔軟性と体幹が鍛えられていくのは間違いありません。ただ、最初は毎日してしまうと、身体が慣れていないために身体が悲鳴を上げるかもしれません。筋トレと同じで、慣れるまでは二日に一回や三日に一回のペースで行い、慣れてくると毎日していくようにしましょう。筋トレのように筋肉に負荷をかけているトレーニングではないので、慣れてしまうと毎日行っても問題はありません。
ただ、山本由伸投手は毎日、ウォーミングアップとしてブリッジを行っていますが、それは鍛えるためではなく、その日のコンディションを確認するためのルーティンとしてブリッジを行い、体勢の傾きやバランスから、どこか調子がおかしい部分がないか、いつもどおりの体調を維持できているかをチェックしています。
このような身体の繋がりや身体の姿勢に気づく感覚を身に付けることは簡単なことではありません。しかし、このような感覚を自然に得やすくしたグッズが山本由伸投手の身体のメンテナンスをされている矢田修先生の考案でかつて山本由伸投手も愛用していたアイピーセレクトから商品化されています。それが、アイピーセレクトの【コマンド】です。これを左右の指にはめることにより、身体の繋がりが自然にでき、全身の繋がりをもった運動がしやすくなります。
山本由伸投手の感覚を少しでも早く身に付けたいと思うなら、【コマンド】を試してみる価値は大いにあります。
速い球を投げたい・いいコントロールで投げたい
・速い球で投げたい
・いいコントロールで投げたい
これが、山本由伸投手がブリッジトレーニングに取り組む目的だそうです。
でも、勘違いしてはいけないのは、ブリッジをしたから速い球を投げれるようになるわけではなく、コントロールも良くなるわけではありません。
山本由伸投手にとっては、それらの目的を実現する手段として、ブリッジの効用を理解したうえで、それを信じて取り組んでいるということです。
山本由伸投手がトレーニングに取り入れているやり投げのフレーチャ
まとめ
山本由伸投手がブリッジトレーニングをしているのは、柔軟性を養うことだけが目的ではなく、山本投手流の言い回しで表現すると、「力じゃない力」を養うため。
自分の身体のバランスや姿勢を支えるために重心の位置を知る感覚を養い、力みのない力でパフォーマンスを発揮できることを目的でブリッジをしているのです。
投手として、速い球を投げるためにコントロールを良くする方法は他にもいろいろあるはずです。
しかし、山本由伸投手はこの方法を理解したうえで結果を出すことを信じて取り組んでいるのです。
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