野球のバットはいろいろなメーカーからたくさんの種類が発売されていて、お店に行ってもどれを選んでいいかわからない方も多いと思います。自分にあったバットを選ぶための選び方を説明していきたいと思います。
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自分にあったバットを選ぶために
運動エネルギーの理論を知ろう
運動エネルギーとは、運動している物体が持っているエネルギーのことです。バットでボールを打つということは、スイングする(運動している)バットのエネルギーでボールを遠くに弾き返す物理法則なのです。
運動エネルギーの大きさは何で決まる?
運動エネルギーの大きさは、運動している物体の質量(重さ)と速さで決まります。
質量に比例する
運動エネルギーの大きさは質量に比例します。質量と重さは厳密には別なのですが、地球上では同じになるので質量=重さで考えて問題ありません。
すなわち、重いバットの方が運動エネルギーは大きくなるので重いバットの方が理論的には有利になります。
重いバットを振るためには力が必要
重いバットの方がエネルギーは大きくなるのですが、力がないとスイングスピードは遅くなってしまいます。結果、スイングの速さが遅くなると運動エネルギーは小さくなってしまい効果は落ちます。
速さの2乗に比例する
運動エネルギーは速さの2乗に比例します。簡単にいうと、スイングの速さが2倍になるとエネルギーは2の2乗(2×2)で4倍のエネルギーになるということです。
質量には単純に比例するだけなので、質量が2倍になるとエネルギーも2倍になるだけですが、速さは2倍になるとエネルギーは4倍になります。
バットの重さよりもスイングスピードを重視した方が効果的
重いバットでスイングスピードが落ちるよりも、軽いバットで速いスイングスピードの方がエネルギー的には効果的ということがいえるでしょう。
一番の理想は、重いバットでスイングスピードを速くする
重さに負けない力を付ければ、より重いバットでもスイングスピードが速ければ質量的にも速さ的にも運動エネルギーはより大きくなります。
バットのタイプ
バットのタイプにはトップバランス、ミドルバランス、カウンターバランスがあります。同じ重さのバットでもバランスによって感じる重さの感覚が変わってきます。
トップバランスのバット
トップ側(握る方と反対側)に重さのバランス配分をしたバット。
トップバランスのメリット
トップが重いので振ったときに遠心力が働きやすく自然にスイングスピードが速くなり、その分、運動エネルギーが大きくなり遠くへ飛ばしやすくなる。
トップバランスのデメリット
トップの重さでスイングは速くなるが力の無い者が振ると勝手にバットに振られてしまいバットの軌道がコントロールできなくなるので、思っているところにバットを持っていけないので、そもそもバットにボールが当たらなくなってしまう。
ミドルバランスのバット
重さのバランスをまんべんなく配分したバット。
ミドルバランスのメリット
重さのバランスが適度なのでバットの軌道をコントロールしやすくボールをミートしやすい。スイングスピードは、選手なり(振る人間)の力量で決まるので、スイングスピードを速くしたければ素振りを数多くこなして自分で速くする努力をすればよい。
ミドルバランスのデメリット
バットの力ではスイングスピードが出ないので、スイングスピードを速くしたければ素振りを数多くする努力が必要。
カウンターバランスのバット
グリップ側に重さのバランスを配分したバット。
カウンターバランスのメリット
手元に重さのバランスがあるのでバットが軽く感じて非力な者でも振り抜き易い。もちろん、バットコントロールも一番し易くなる。
カウンターバランスのデメリット
非力でも振り抜き易いとはいえ、スイングスピードは選手なりのスピードに左右され、しかも力のあるボールに対しては力負けしてしまう可能性がある。
一般的な選び方は
一般的にはバット選びの際、次のように言われることが多いです。
パワーヒッターはトップバランス
トップバランスのバットは、バットの先端の比重を重くしているので遠心力の働きでスイングスピードは速まりますが、その分、バットコントロールは難しくなります。そのため、それでもバットコントロールができるくらいの筋力、体格がある選手でしか扱えないと考えられています。非力であったり体格が小さい選手はバットに振られてしまって、思った通りのスイングができないからです。
バットコントロール重視、ミート重視の選手はミドルバランス
長打を狙うのではなく、ミート重視で単打の量産を狙う選手はミドルバランスが向いていると一般的には言われています。ボールをミートさせるためにはボールの軌道にバットを入れていかなければいけません、力があればトップバランスのバットでもコントロールできますが、そこまで力がなければバットコントロールのしやすいミドルバランスのバットで思い通りのバットコントロールでミートの確率を高め、安打性の当たりが打てるようになる方が確実だからです。
非力な選手はカウンターバランスのバット
よく振り遅れる選手はバットを短く持てとアドバイスされます。これは、バットの端を持つよりも中ほどを持つことにより、持ったところから先の比重を軽くすることによりバットスイングが速くなるからです。同様の理屈で、グリップ部分の比重を高めると相対的にバットの先が軽く感じられるようになるのでスイングしやすくなります。これが、カウンターバランスのバットです。
グリップの太さの違いも知っておきましょう
トップバランスのバットはグリップは細いです。なぜなら、グリップを細くすることによりグリップ部分を軽くし、バットの先を重くしているからです。逆にいうと、ミドルバランスのバット→カウンターバランスのバットになるにつれて、グリップ部分は太くすることで重さのバランスをグリップ側に移動させているのです。
握り方の好み
細いグリップが握りやすい、太いグリップの方が握りやすいなど好みは分かれるかもしれません。
手の大きさにも左右される
グリップの太さだけでなく、手の大きさによっても感覚は変ってくると思います。同じ太さでも、手の大きさが違う選手では感じる感覚は異なるはずです。
カウンターバランスのバットを選ぶ時の注意
非力な選手はカウンターバランスのバットが振りやすい、扱いやすいのですが、矛盾点として、非力な選手は相対的に身体の小さい選手が多くなります。すると、やはり手も小さい選手が多くなります。手が小さい選手にとってカウンターバランスのバットのグリップは太く感じるかもしれません。太すぎてきっちり握れずに(特に握力が弱いと)思い通りにスイングできなかったり、ボールが当たった衝撃に負けてしまう可能性もあることを知っておきましょう。
グリップテープの注意
一般的に市販されているバットに巻かれているグリップテープは右打者用に合わせて巻かれています。意外と右打ち左打ちでグリップテープの巻き方が異なることを知らない方がいらっしゃるのですが、右打者と左打者で握ったときに指のはまり方の角度が異なるためテープの巻く方向も変わります。ですから、左打者の場合はバットを購入後、一旦テープを剥がして新しいグリップテープに巻きなおす必要があります。
綺麗に剝がれないので、結構苦労します。また、綺麗にはがさないと巻きなおした時にガタツキ感が生じて握りにくくなります。
どんなバッターになりたいかで選ぶ
現状の力でバットを選ぶよりも、これから努力して、この先どのようなタイプのバッターを目指すのかで選ぶべきではないでしょうか。
長打が打てるバッターを目指すならトップバランスのバットで練習あるのみ
現状でトップバランスのバットを扱いづらくても、ホームランを打てるバッターを目指すならトップバランスのバットを振りまくって負けない身体を作っていくのが近道だと思います。とにかく、毎日毎日、素振りをしまくって下半身がぶれずに、バット先端の重さに負けずに思い通りのスイングができるように素振りと筋トレをしていけばいいのではないでしょうか。
アベレージヒッターを目指すならミドルバランスのバットで練習あるのみ
長打よりもヒットを量産して打率をかせげるバッターを目指すならミドルバランスのバットで自分のスイングを確立し、どんなコースにもどんな球種にもきっちりと打ち返せるスイングを日頃の素振りとバッティング練習で身につける努力をしていきましょう。